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原田知世 noon moon SpecialSite

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Special Interview

volume1

interview & text Eiichi Imai

インタビュー前日の夜、ちょうど半月だった。空はよく晴れていて、きれいな、白い半月が夜空に浮かんでいた。新しいのになんだか懐かしさを感じる原田知世さんのニューアルバム『noon moon』を聴きながら、翌日にインタビューする原田さんへの質問を頭の中で整理していった。なぜ、「月」なのか。でも確かに、原田知世さんは、太陽というよりも、「moon 月」という感じがする。白い月。でも、ときどき赤くも、大きくもなる月。

まず最初に、アルバム制作の手がかりになるキーワード探しから始めました。以前、鈴木慶一さんと作った『カコ』というアルバム。この「カコ」という言葉も、偶然見つけたキーワードでした。新幹線に乗っていて、たまたま開いていた雑誌に、植田正治さんの「カコ」という写真があったんですね。その写真に一瞬で魅了されました。植田さんが鳥取砂丘で少女を撮った写真なのですが、女の子が砂丘で、どこか遠くを見ているんです。いったい何を見ているんだろう?って想像が膨らむ、とても素敵な写真でした(※写真家・植田正治が、愛娘のカコちゃんを撮ったシリーズ)。そこから、『カコ』と名づけることになるアルバム作りが始まったんです。そのアルバムは1960年代を中心としたカバーアルバムでしたから、「過去」というテーマとも合っていたんです。今回もそんな風に、あるキーワードからアルバム作りを始めてみようかと。

そして浮かんだ言葉が、「moon 月」でした。これまでも、自分が書いてきた歌詞の中には「月」という単語がよく出てきますが、わたしにとって月はとても身近で、さまざまなイマジネーションを広げてくれるもの。静かなエネルギーや女性を感じるものでもありました。太陽の光を受けながら、細くなったり、まるくなったり、月は日々表情を変えていきます。でも遠い昔から月はいつもそこにあって。形は変わるけど、(本質は)変わらないとも言えるんですよね。これまでを振り返ると、わたし自身、たくさんの出会いの中で、変化してきた部分と、歳を重ねても変わらない部分があって、それが「moon 月」という言葉につながっていったのかもしれません。

『noon moon』。直訳するなら、「昼間の月」。なぜ、昼の月なんだろう? 月は、ふつう夜だ。夜空に黄色く、白く、光っている。鎌のように鋭い三日月、浜辺のような三日月、半月、ふっくらした満月……。原田知世さんは、どんな月が好きなのだろう?

わたしが好きなのは、青空に浮かぶ月です。昼間に空を見上げた時、月が見えることがありますよね。それは、青い空に淡く透けているように見える月。月にはミステリアスなイメージもありますが、わたしにとって昼間の月は、幸せな気分にさせてくれるものなんですね。「noon moon」は、そんな透き通った昼間の月。意味はもちろんですが、言葉の響きの良さと、小文字のoが並んでいるさまがなんだか可愛いらしくて(笑)、このタイトルに決めました。

伊藤ゴローさんとアルバムを作るのは3枚目になりますが、今回はこれまでの2作より、じっくりと作ることができました。わたしにとって、前作『eyja』からの5年は本当にあっという間でした。ソロ活動のほかにバンドpupaにも参加し、アルバムを作ったりツアーを回ったりと、音楽の仕事が続いて。そして、それが一段落ついた頃には、しばらくは女優の仕事をやりたい、と思うようになりました。その後、デビュー30周年というメモリアルな年を迎え、これまで続けてきた女優と歌手の両面を表現できるライブを作りたい……という思いから、歌と朗読の会「on-doc.(オンドク)」が生まれました。ゴローさんと一緒に、美術館やカフェ、教会、旅館など、各地のさまざまな会場でおこなってきましたが、毎回とても新鮮な気持ちで歌っています。これまでライブといえば、バンドでツアーをおこなうことがほとんどでした。ギターと歌、というシンプルなこの形は、ある意味とても緊張するものだったりもしますが、自分でも不思議なほど、ここでは楽しく歌うことができています。そして、この「on-doc.」のように、ゆったりとした気持ちで、一曲ずつ生み出して、一枚のアルバムを作れたら……という思いが徐々にわいてきました。こんなふうにして『noon moon』へとつながっていきましたので、プロデューサーは伊藤ゴローさん以外には考えられませんでした。

ゴローさんが奏でるギターを聞きながら朗読をしていると、情景が浮かんでくるんです。ソロアルバムを聴くたびに「こういう音楽が流れている映画に出てみたい」と思います。すごく厳しい冬の、凍えるような寒さの中にあるような音……でも、それはとても美しい世界。そして、ゴローさんのギターには温かみがあるんですね。それはゴローさんの人柄でもあると思うのですが。寒いのに温かいって、不思議ですけれど(笑)。

深く高く降り積もった北国の雪なのに、伊藤ゴローさんの奏でるギター、サウンドは、いつも温かい。それは北国の、暖炉の灯った部屋の音なのかもしれない。燃える木が、パチパチはじけ、煙突から煙が立ちのぼっている。暖かい部屋の中から外を見ると、そこは白い雪が降り積もる北国だ。ゴローさんのギターは、そんな極北と暖炉が合わさったような音。原田知世さんの歌声が、伊藤ゴローさんの奏でるギターの調べに重なっていく。部屋はますます暖かく、懐かしく……、気がつけば、春だ。

(Volume 2へ続く)

RZCM-59598

2014年5月7日
発売

¥3,000
(tax out)

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noon moon

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RZCM-59598
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初回限定ピクチャー・ディスク仕様

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