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原田知世 noon moon SpecialSite

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Special Interview

volume1

interview & text Eiichi Imai

いつの頃からだろう、原田知世さんのことを、「シンガー、歌手」として見るようになっていた。デビュー以来、女優としての原田さんを数多く見てきたし、スクリーンの中に活写される姿を幾度も目にしてきたのだが、いつからか、原田知世=シンガー、ミュージシャンであり、ときどき女優もやっている、というようなイメージを抱くようになった。原田知世さんの歌声は、誰にも似ていないのに、いつか何処かで聴いたような気がするから不思議だ。

歌う、ということが好きな子どもでした。でも、歌手になりたいとか、そういう夢は一度も持ったことはありませんでした。お風呂に入っている時や、家族旅行の道中、車の中。家にお客さんが来たときにもなぜか親に呼ばれて歌を披露していましたね(笑)。子どもだったから、歌うことで喜んでもらえたりすると嬉しかったんでしょうね。そういうの、昔はどこでもあったのかしら? とにかく、姉とふたりでいつも歌っていましたね。もう…自然に歌っていたんです。 子どもの頃は歌番組を見るのが楽しみで、色んな歌手の方の曲を覚えましたが、一番心に残っているのは、久保田早紀さんです。

久保田さんがポルトガルで録音されたアルバムがあるのですが(※『サウダーデ』。久保田早紀の3rdアルバムで、ポルトガルでファドの音楽家たちとレコーディングした)、それが一番のお気に入りで、何度も繰り返し聴いていました。ファドのミュージシャンの演奏と久保田さんのメランコリックな歌声に、子どもながらに、行ったことのない異国の地を想像しながら聴いていました。このアルバムは今でも時々聴きますし、久保田さんの歌にはとても影響を受けていると思います。自分の声については、これまで「もう少し太い声になりたい」とか、「少しハスキーになりたい」と思ったこともありますね。でもこればかりはどうしようもできませんし(笑)。できるだけリラックスして歌うように心がけています。そして、子どもの頃のように歌うことを楽しむ気持ちを大切にしたいです。

『noon moon』は、Newアルバムなのに、郷愁を感じるアルバムだ。懐かしい思い出、いつか何処かで見た風景、忘れていた大切な出来事、心の中にあった名前…。はじめてなのに、懐かしい。メロディとサウンドがやさしくて、素直に心に触れてくる。

懐かしさを感じる曲が多いですよね。前作(※『eyja』。日本とアイスランドでレコーディング。プロデュースは伊藤ゴロー)とはずいぶん違う印象だと思います。前作は、わりと作り込んだアルバムで、わたしの声も楽器の一部として捉える部分もあったり。その分、ライブで再現するのが難しい曲が多かったですね。その後「on-doc.」を経て、伊藤ゴローさんとわたしの間で、「歌とギターだけで成立する曲を作る」という共通認識が生まれました。もちろん、レコーディングでは色んな音があとから加えられているわけですが、基本としては、2人だけでもライブができる曲、というのが最初のコンセプトでした。ゴローさんは「太いメロディを書きたい」と言っていて。太いメロディって面白い表現だなぁと思ったのですが、私は妙に納得しました(笑)。

そして、子どもでも口ずさめるメロディがたくさん生まれました。シンプルだけど印象に残る曲というか。小学生の甥っ子、姪っ子にアルバムの曲をちょっと聴かせたのですが、すぐ覚えて歌っていたんです。ああ、いいなって思いました。子どもって純粋でしょ。(心に)残るものにちゃんと反応してくれる。それはまさにゴローさんが言っていた、太いメロディーだと思いました。

『noon moon』の中の、「走る人」という歌の詞が特に好きだ。原田知世さんの作詞。「なにひとつ持たず走るあの人はだれより自由に見えた 強く吹きぬける風も追い越して 大空を飛ぶ鳥のように」。アルバムにはまた、作家・詩人の池澤夏樹さんが一篇、詞を書いている。「名前が知りたい」という曲。どの歌も、メロディと言葉がしっかり手をつないでいて、心地いい。音も言葉も、耳にすっと入ってくる。

何気ない日常の光景や、人との出会い、日々の暮らしの中でさまざまなことを感じながら生きています。わたしの歌詞は、その記憶をたどり、その時々に感じてきた思いをひとつずつ取り出していくような作業かもしれません。それはまるで、「顕微鏡でのぞく」みたいな感じ。細分化していって、「あのとき自分はなぜこう思ったのだろう?」って考えてみたり。時が経ってあらためて気づくこともあります。作詞は、一度立ち止まって、自分の心を見つめ直す大切な機会でもあります。

いつも、伊藤ゴローさんが先に曲を作って、デモの音をいただいて、そこに詞をつけていきます。歌詞は、作り終わってからもまた書き変えることもあります。ゴローさんも、あとから微妙にメロディを変えたりすることがよくあります。音符がひとつちがっただけで、言葉が違って聞こえてしまう。逆に、言葉が一文字変わっただけで、メロディが合わなかったりということもある。何度も直したり、加えたり、そういった作業の中で、思わぬ化学反応が生まれ、前よりずっとよくなるということもあります。こんなふうに、お互いに相談しながら一曲ずつ作り上げていきました。

メロディのために言葉があり、言葉を生かすためのメロディがある。原田知世さんと伊藤ゴローさん、信頼し合うふたりのキャッチボールから生まれた『noon moon』だ。

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RZCM-59598

2014年5月7日
発売

¥3,000
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noon moon

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