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2008/12/08 UPDATE #001

教授への質問状 教授のお宝写真付き

音楽活動のみならず、さまざまな分野で高いクリエイティビティ を発揮しつづける、我らが教授・坂本龍一。その脳内を少しでも覗いてみたい!というわけで、教授へ質問状を提出。音楽、環境、プライベート、さらには好きな女性のタイプまで......あらゆる方向から教授のホンネに迫ってみました。

質問01

【質問テーマ:「神様」と「ブリーフ」】
僕は今32歳という世代の人間でして、物心ついた時にはすでに坂本教授は神格化された扱いを世間からされておりました。
そんな中、高校生の時にダウンタウンの「ごっつええ感じ」を拝見していた所、坂本教授がコントに出演されておりました。
"アホアホマン"というコントだったと記憶しております。
しかも汚れたブリーフ姿で、浜田さんに思い切りどつかれてしまう、という演出に衝撃を受け、お世辞抜きで「こんなに名声を受けている方なのに、こんな事をやってしまうなんて、なんてカッコいい人なんだ!!」と思いました。
坂本教授に、あの仕事の依頼がきた当時、何をお考えになり、どのような経緯でお受けになったのかを是非おききしたく存じます。
宜しくお願い致します。

音楽制作 30代 男性

教授回答:
確か「ゲイシャ・ガールズ」リリースの後、いくつかダウンタウンから仕返しがありました。
「ガキの使いやあらへんで!!」でも成田到着早々収録会場入りして、ぶっつけ本番でハゲズラを被され漫才をさせられたり...。
その中のひとつだったと思います。
「受けて立とう!」ということです。
基本的に「おふざけ」はキライじゃありませんし...。

ちなみに「お笑い好き」というエピソードの一つですが、とんねるずの「もじもじくん」にYMOで出演した際の罰ゲームで「わさび寿司ルーレット」というのがありました。
たくさん並ぶにぎり寿司の中に「わさび」がしこたま仕込んである、というアレです。
とんねるずの2人とYMO3人が順々に「握り」を淡々といただきました。
そうしてぼくが食べた一つは「わさび寿司」だったのですが、全く気づかず普通に美味しく食べてしまったのです。
ADさんが飛んで来て「坂本さんが食べたのが"わさび"です」と言ったところで、スタジオは大爆笑になりました。
OAでは、実際に「わさび寿司」を普通にたべている場面がテロップ入りで紹介されました。

"アホアホマン"のエピソードとしてはTV局の小道具さんが着用衣装のブリーフを「汚して」楽屋に持ってきてくれたのですが、「そんな上品な汚れじゃたりない、貸しなさい」とこげ茶色のドーランを取り上げてメチャクチャに汚して悦に入っていたんです。
収録に立ち会っていた当時所属していたレーベルの上層部も、TV局の偉い方々もみんな驚いてでそそくさと帰ってしまいました。
ダウンタウンのもお二人もさすがに"引いた"ので「勝った!」と嬉しくおもったもんです。

最後に付け加えておきますが、最近の日本のお笑いは全くわかりません。
NYで楽しみにケーブルTVで観ているのは「笑点」だけです。
もうジジイですから「お笑い」番組の仕事などをブッキングするのは止めてくださいね。

質問02

教授の幼少時代について興味があります!
はじめて作曲をしたのは幼稚園の頃と聞いたことがあるのですが、教授は幼稚園に行くのが好きでしたか?
また、その頃どんな遊びをしてましたか?
思い出のエピソードなどありましたら教えてください。

人事 30代 女性

教授回答:
そうです。幼稚園ではじめて作曲をしました。
夏休みに世話をした動物の歌を秋に作るということになっていたんです。
「うさぎのうた」というタイトルだったかな。
「うさぎの目は赤い~」という感じのシンプルなものだったと思います。
残念ながら譜面などは残っていません。

幼稚園はとても好きでした。

特に窓ガラスに絵を描く事が好きでした。
子供ながらにタブー(禁忌)を破るという感覚があり「こんなことしていいのかな?」と思いながら描いていました。

またあるとき、幼稚園の帰りに友達2人をさそって渋谷に映画を見に行ったのですが、それが発覚しおおごとになった。
そのことは幼稚園でも後々まで「坂本くんのようなことは、決してしないように」と語り継がれていたと聞いています。

坂本龍一 July,2008/NY
「アルバム制作の準備中?」

質問03

坂本龍一さんに限らず、いろんな団体がエコ推進活動を盛んに行っていますが、誰をターゲットにしているのでしょうか?

日本だけではなく、イギリス・アメリカ・韓国は格差が広がり、国の抱える問題として、食料、エネルギー、経済貧弱化があると思います。
人数的にはきっと裕福なひとよりも多くの人たちが今日の生活もままならないような環境の元に暮らしていると思います。

本当に多くの日本の人がエコなんて考えていられない生活状態になりつつある中、この沸き起こるエコ活動は誰をターゲットに呼びかけているのでしょうか?

契約管理 20代 女性

教授回答:
ぼく自身が関係していないエコ団体が誰をターゲットに活動しているのか、それは団体の設立趣旨や目指すものによって異なるでしょうから、明確な返答はできません。

環境問題は人間の唯一の住処である地球の問題ですから、お金持ちにも貧乏な人にも等しく襲いかかってきます。
そういう点で、ターゲットは人類全体です。
ただ、環境問題の影響をより受けるのは貧困層という見方もありますから、その意味では世界の貧困層に、より気づいてもらいたいと思います。
また、見方を変えるとそのような問題に対処しやすいのはお金に余裕のある富裕層ですから、ターゲットは富裕層であるともいえます。

質問04

「エコはエゴ」だと発言されていると聞いたことがありますが、それはどういう意味でしょう?

マネージャー 40代 女性

教授回答:
みなさんご存知の通り、ぼくはまったく完璧な人間ではありません。
毎日、電気を使うし、車や飛行機にも乗ります。
暑いとクーラーを強くしてしまうことだってあります。(そうしないように気をつけていますが...)
また、音楽を作ってそれで商売をしていますから、その点でもたくさんの温室効果ガスを吐き出しています。
だからといって温暖化の問題を無視していいとは思いませんし、エコ推進活動をしていけないとも思いません。

よくインタビューなどで話すのですが、ぼくは「エコはエゴ」だと考えています。
自分が奇麗な空気を吸いたいし、美味しい水を飲みたいし、灼熱地獄で死にたくもありません。
ぼくの子どもたちが大人になったとき、この惑星が「生きられない場所」になっていては困ります。
しかし残念なことに環境はぼくがどんなに大金持ちになっても、「ぼくと自分の家族のためだけいい環境を買う」ということは出来ません。
自分が気持ち良く生きていくために、他人にもちゃんと考え、行動してもらわないと困るのです。
なによりも、人が生きていける環境がなければ、音楽もアートも楽しむことは出来ません。
そんな悲しいことは起こってほしくありません。

質問05

教授にとって人生とはどういうものでしょうか?

ディレクター 40代 男性

教授回答:
わたしは何でもその場その場で対処しています。
もちろん失敗もありますが、総じて楽しい時間を過ごしてまいりました。
次の瞬間には何が起こるかわからないもので、そういう時「Ce la Vie」と言います。
つまり計画は無用だということです。
わたしにとって人生とはそういうものです。

坂本龍一 July,2008/NY「ちょっとお疲れ」

質問06

10年前にBTTBを聞いて以来、坂本さんの楽曲を聞いています。
なかでも「aqua」は、「インスト曲を聴いて初めて涙した曲」です。
(歌詞ありの曲ならば、『歌詞に共感して涙する』事もあるでしょうけれど...)
旋律だけで泣かせる事ができる「aqua」という曲が、どうやって出来たのか制作エピソードが聞きたいです。

企画推進 30代 女性

教授回答:
「aqua」は娘の美雨のデビューアルバムを作るときに書いたものです。
良く出来たので、自分でその曲をカバーして先にリリースしてしまいました。

質問07

私は普段、仕事や人間関係でイラッとくることがあるのですが、そんなとき、教授オススメのストレス解消法があったら教えていただきたいです。

総務 30代 女性

教授回答:
今日ニュースで見たばかりですが、おだやかな人は怒りっぽい人より「心筋梗塞」になる確率が30%も高いそうです。
ぼくは生まれてから56歳になるまで、真に「温和な人・柔和な人」に会ったことはありません。
これが科学的に立証されました。
温和な人はただ我慢しているだけなんですね。
それでストレスがより多くなっている...。
ストレスはためないことです。
方法は自分で探してください。
ちなみにぼくのストレス解消法は食べることにつきます。

質問08

現在、音楽ビジネスは低迷期だと思います。
楽曲のダウンロード数は増えてますが、CDの売り上げは下がっておりますし、米大手レコードメーカーも合併するなど、世界規模で危機を迎えていると言われています。
このような状況で、坂本様は、世界の音楽ビジネスをどのように考えていらっしゃいますか?
また、今後の展望やアドバイスなどがありましたら、ご教授下さい。

映像制作 20代 男性

教授回答:
もともと80年代にCDというメディアが登場し、音楽がデジタイズ(デジタル化)された時点で今の状況は予測できていました。
当時ソニー(電気)の方に「『音楽キオスク』を作り、デジタル情報転送だけで音楽を売ればいいんじゃないか」と提案したことがあります。
もしそのころ今のようにインターネットのインフラがあればCDは普及しなかったでしょう。
CDはあくまで、インターネット登場までの「過渡期」のメディアです。
欧米にくらべてPCの普及率が低い日本でも、あと2~3年もすればCDパッケージの大部分はなくなるでしょう。一方、人間の持つ「モノへの愛着」に着目すると、CD(Super Audio CDなども含むディスク)は「高付加価値商品を支えるメディア」として意外に長く存続するのではないかと思います。
ぼくがやっているcommmonsからリリースされる「schola」などもその位置づけです。
世代を超えて受け継がれていく商品として制作します。

大手レコード会社と契約しなければ、音楽を大衆に届けられない時代は完全に過去のものになりました。
制作者あるいはユーザーの立場で、多様な音楽が簡単で便利に流通できる現状は素晴らしいことだと思います。
しかし、音楽家の立場からすれば、作品を聴衆に買ってもらって初めて生活がなりたちます。
無料でコピーされる音楽が増え、音楽業界に流入してくる資金が減れば、優秀な才能や人材がはこの業界に集らなくなるでしょう。将来的には、才能が他分野へ流出し、産業としての音楽業界が消滅するかもしれないと危惧してます。
人から聞いた話しですが、日本の若者の多くが携帯電話を機種変更する際に「着うたフル」など携帯にDLした音楽も捨ててしまうそうです。
それは象徴的な話ですが、音楽が「消費財」となり「文化財」としては存在しにくくなっている。
20世紀以前は貴族や教会(国)などが、そして20世紀は大衆が、音楽家に対して金銭を払いパトロンとなって音楽文化は発展してきましたが、少なくとも20世紀モデルは崩壊しつつあると思います。

まずはCDセールスに依拠したビジネスモデルからすぐにでも脱却すべきです。
CDなどのメディアに音楽を大量複製/生産し頒布するビジネス構造では業界は崩壊します。
一方、街に出れば音楽が氾濫しています。
つまりリスナーは存在するということです。
「音楽」と「リスナー」をつなげるメディアム(媒体)としての役割はむしろ増大していくのではないでしょうか。
「エージェント機能」と言ってもいいでしょう。
また「パブリシティー機能」もますます重要になるでしょう。
「レーベル」がブランドとなり、ブランドが「セレクトショップ」としても機能するようになるのではないでしょうか。
欧米ではすでにそういう動きが活発になっており、インターネットの技術特性を生かした、Last.fmなどで知られる新たなビジネスモデルも出現しつつあります。

日本では、著作権法なども含め旧来の法制度や著作隣接権者の存在がそういった動きを阻害している部分もあるので、制作者とユーザーの立場に立ち、本当の意味で著作者を守ることが出来る制度/法律改正なども必要になるでしょう。

質問09

娘さんの坂本美雨さんとは普段どのような会話をしてますか?

経理 20代 女性

教授回答:
あんまり記憶にありません。
猫の話しとかはします。
一度、ボーイフレンドを紹介されたこともあります。

坂本龍一 July,2008/NY「コクヨ広告撮影の合間に」

質問10

戦メリが大好きなのですが、どのようなシチュエーションのときに作られたのですか?

商品企画 40代 女性

教授回答:
ピアノの前に座って、普通に。
ただ、どうやって作ったかは覚えていなくて、気がついたら出来ていました。たまにそういうことがあります。


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