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2010/09/17 UPDATE 番外編

第三章 坂本龍一×オノセイゲン

空気の振動をそのまま記憶する

オノ : 「なぜ録音するのか?」あとの時代から再現する目的とは、まるでその場に居るかと勘違いするかのような「時空を超える体験」ではないかと。アーカイビング(※38) が残っていたから聴くことができる。ただし「いい音」という概念は個人個人で異なりますから万人に「いい録音」を届けるのは難しい。ですが、今の技術では、ほとんど無制限と言えるサンプリングやレコーディングができる状況にもなってきました。最高のレゾリューションで録れば(それでHDD容量とかPro Tools (※39) が2台、3台必要という図式もあるんですが)、あとから落とすことは簡単です。

坂本 : 今からやろうとしているプロジェクトを、何ビットでレートをいくつで (※40) やろうかと、よく考えますが難しい問題です。音の再現性ということでも、ある空間で鳴っている空気の振動をマイクで録り、ある種の変換をして、ある媒体に記録するわけだけれども、その間に何行程もあって、それによっても音が変わってしまう。デジタルと言ってもケーブルひとつで音が変わってしまう。またマイクには、限界がすごくありますね。

オノ : マイクとスピーカーという物理的なトランスデューサー (※41) は、まだまだ曖昧な部分があって理想値には達していない(それがトランスデューサーの特徴、色づけだったりもするのですが)。

坂本 : 問題は山積みなんだけど、一方で、デジタルの卓 (※42) が出てくると「その卓の音がしちゃう」とか「何ビットの音してるよね」とか言う人が必ずいる。ぼくは58年生きていて、そんなに耳のいい人に会ったことはない。完全にこれは聴こえてるなっていう驚くような、物理的に耳がよい、自分より耳のいい人間には二人しか会ったことがない。(問題は)そんな違いより、もっと、音楽のパフォーマンス自体の違いとか、部屋の鳴りの違いの方がはるかに大きい。

オノ : そうなんですよね。空間情報であるマイクの位置とかね。

坂本 : ええ。マイクの位置。

オノ : そして、演奏家の気持ち。

坂本 : そう。ここ(胸を指して)から出てくる気持ち。それからパフォーマンス自体の善し悪し、楽器の鳴りとかね。

オノ : いい録音の大前提として、演奏家をのせることはすごく大事ですよね。

坂本 : そうだね。

オノ : 録音する以上、マイクの位置より、ほどよい緊張とリラックスを同時に。

坂本 : そうでしょ。そっちの善し悪しの幅の方が、はるかに大きいもの。

オノ : レコーダーのスペックなんかよりもはるかに大きいですね。

坂本 : (笑)16ビットか24ビットより、例えばEQ (※43) をこのくらい(ほんの少し)加えたか、加えないかの方が、はるかに音質に影響を与えちゃうわけです。だから、あまり細かくなっても、ついていけてない人が多いなっていうことは、常々感じています。だからってサイエンティフィックな、テクニカルな探求というのは面白いんですけど。ぼくも嫌いじゃないだけど、みんなあまりついていけてない気がしますね。

オノ : そうですね、サイエンティフィック、物理的な部分はもっとがんばって欲しいですね。ただ最先端をやっても、世の中の万人に満足できることはできないんですよね。

坂本 :できないな。

オノ :音も万人に平均値というのは出ませんからね。でも耳のいい人はいい。

坂本 : それで、面白い話がひとつあってね。ムジークエレクトロニック・ガイザイン (※44) (Musikelectronic Geithain)のヨアヒム(Joachim Kiesler)っていう天才社長。あのスピーカー作ってる人ですね。彼は少年時代から、音を聴くとスペクトル (※45) が見えてしまう、そういう特殊な能力がある人なんだそう。

オノ : まさに音が見えてしまう。

坂本 : 去年、ライプチヒのコンサートの後に会ったんですけど、旧東ドイツの会社だったので「資本主義的な競争がなくてラッキーだった」と。

オノサンレコ (※46) の記事(2009年12月号)よかったです。スピーカー工房。

坂本 : 万人に売れなければ研究費が出ない、ということがなかった。「非常に恵まれた環境で何十年も研究できたので、ああいうものができた」と言ってました。なるほどと思いましたね。社会主義という環境だから進む部分って、あるんだなあと。

オノ : コンサート用のものも作られているとか?

坂本 : まだそれは途中段階のようです。ぼくもPA (※47) 用が早く欲しいんですけど、まだもう少し時間かかるみたいです。

オノ : 彼は、マイクロフォンは「DPA (※48) 」の測定用 (※49) かなぁ?

坂本 : 何を使用してるんでしょうね?

オノ :トランスデューサーのインとアウトがまったくイコールになれば理想的ですよね。視覚も聴覚も、間に、まったくなくなれば理想的ですよね。

坂本 :そうそう。そのとおり。ヨアヒムは素晴らしくてね。そのコンサートが終わった直後、最初にぼくに言った言葉、何だと思います?

オノ :んん?坂本さんのファンで、ライヴで観れて感動した?では当たり前か。

坂本 : いいえ。お互いに感動の初対面だったんですけど。それまでガイザインのスピーカーがコンサートで使われたことはなくて、彼もそのとき(PAで使われたのを)初めて聴いたわけです。『おお!スピーカーの音がしなかった!』って抱きついてきたんですよ!

オノ : おお!感動的!理想的PAです。

坂本 :素晴らしいやつだと思いました。で、まさにそれが、ぼくが求めていたことなんです。

オノ :録音もそうありたいですね。トランスペアレンツ (※50) 。そこで出ている、いい音以外に何も加えない。それにしてもライプチヒの会場のお客さんは、純粋に坂本さんの音楽だけに包まれましたね。音量は大きくなっているのにPAを感じさせない。スピーカーに色づけがないというのは理想です。

坂本 :そういうことです。コンサートっていうのは、500人、1000人の人に、隅々まで音を聴かせてあげないといけないから。舞台上で鳴っているピアノの音を「ただそのまま増幅したいわけ」です。どこにも歪みなく。それが理想な訳ですよね。

オノ :色づけなく、そのままね。

坂本 :だから理想的には、マイクの音も、アンプの音も、スピーカーの音もしないで、ただそこでピアノが鳴ってる音が、ただ大きくなればいい。で、実はぼくの録音の考えもそうなんですよ。

オノ :おっしゃる通りです。ブラボー。

坂本 : 彼はそれを言ったんです。スピーカーの音がしなかった。それがスピーカー作りの究極の理想じゃないですか。彼はそれを判ってるわけです。こっちもそれを求めている。感動しました。

オノ : まさにいただきたかった言葉です。
そうあるべきだと思います。レコーダーの音がしない録音。ただライヴをタイムシフトした、時空を超えた体験。

坂本 : そうだねー。

オノ : 本来ライヴで、それと勘違いするほどのレベル。世界で一番耳のいい二人ぐらいが、勘違いするくらいが限界値と言いますか、オリンピック選手。そこが人間の聴覚の限界値。そのレベルで、録音=再生ができれば、万人の聴覚までカバーできると言えるのではないかと。さらにそこで、いろんな種類をそろえてやれば個人個人の趣向にも合わせられる。

坂本:限界値。そうなんだよね。限界値まで録っておいて、あとは好みでね。逆に、歪ませるのは簡単。あるところ足してやったりとか、削ったりとか。だからやっぱり、空気の振動を記録するというのが究極の姿でしょう。

オノ : その通りですね。

坂本 :空気の振動を、分子状態で記録するような録音を考えれば、これは革命ですよ。

オノ : そうですよね。マイクの位置にあたる情報と合わせてね。

坂本 :そうするとその分子状態の情報は、ネットでも送れるので、その振動を即座にね。ある場所から別の場所に。

オノ : リアルタイム、あるいは場所と時間シフトしても大丈夫ですね。

坂本 :時間あるいは空間、1世紀経っても10世紀経っても再現できるってことになる。まあ、カラヤン (※51) が亡くなっても、1000年後にでも。ベルリンフィル (※52) のあそこの劇場の音が、1000年後もちゃんと空気の振動として、「ライヴで鳴る」っていうことになる。

オノ : 先日、早稲田大学でアーカイビングについてのシンポジウムで、山崎芳男 (※53) 先生と吉村作治 (※54) 先生の面白い話、「ピラミッドの石を、エーンヤコーラって何千人かの掛け声と共にずり動かしたなら、石を引きずった軌跡に音の波紋が、レコードの溝のように刻み込まれている」と。ノイズを取り除いていけば、その声が引き出せるという考え方です。

坂本 :そういうことでは、宇宙の誕生、ビッグバンの爆発した時の振動が、実際に宇宙中に流れていて、つまり空間に記憶されているね。

オノ : 過去の軌跡からどのようにして再生するかですね。思えばほんの27年前ですが、フリーランスになって初めてのエンジニアとしての仕事が「戦場のメリークリスマス (※55) 」でした。

坂本音響ハウス (※56) だったっけ。

オノ : 2年間だけでしたが、アシスタントでクレジットされたのは、ユーミンの 『 サーフ・アンド・スノウ (※57) 』 だけでした。その後はスーパースタジオ (※58)田中信一 (※59) さんと一緒でした。坂本さん、清水靖晃 (※60) さん、渡辺香津美 (※61) さん、近藤等則 (※62) さんと天才的、個性的な方にどんどんつながりラッキーでした。海外にも ビル・ラズウェル (※63)ジョン・ゾーン (※64)ラウンジリザース (※65) と録音だけでなくツアーのPAも。

坂本 : 今はマスタリング (※66) が多いんでしょ?

オノ : はい。マスタリングとか録音については、純粋に技術だけを提供したい。それこそ自分のカラーは全く入れずに。そのアーティストの演奏だけしか見えないような仕上げができればね。スタジオはJVCの裏あたりです。小沼さんは何回か来てます。

坂本 : 一緒に秋刀魚を喰うって聞いた。

オノ :あっ、それ。自家製一夜干しで「秋刀魚のダイコン寿司」を作ります。ぜひ一度いらしてください。

坂本 :最近、ブラジルは行ってないの?

オノ : ずいぶん行ってませんが、今年は自分の音楽を録音のために行く予定ですが、こちらは逆に、非常に個人的なことですね。先ほどのYAMAHAの「CP1」ピアノ (※67) 、ぼくも渋谷のある店で触りましたが、サンプリングがとてもよくできている。楽器やレコーダーを作るには、演奏家とサイエンティストの両方が必要ですから、二足の草鞋も役立ちます。YAMAHAの持っている技術なら発音や響きを実際の空間のような立体的に再現することも可能だと思います。

坂本 :結局さ、音が鳴るってことは、ある空間の中の空気の振動だから、機構シミュレーターじゃないけど、スーパーコンピューターみたいなもので、分子の動きを全部記録しちゃえばいいんだよね。

オノ : そうですね。

坂本 : それはまあ、今できる…。

オノ : 日本が世界にリードできる技術ですぐ製品化に利用可能なのは多いですが、どうしてもマーケティング優先で、会議を重ねて躊躇しているうちに、実際の製品化となると韓国や中国に先を越されてしまうケースが多いですね。空間の全方向の音の初期反射 (※68) を2次3次だけでなく、照明デザイン用に7次くらいまで、しかも周波数帯域ごとの拡散、素材なんかを織り込んで、こうなるとマルチで並行して、3D動画のリアルタイム処理みたいなことになるから、CELLなんかに少しメモリー足してやれば実現可能だと思うんですが。あるいは、ホール同士を光回線でつないで、先ほどおっしゃったある空間の空気の振動を別のホールで再現する。もちろんトランスデューサーだけでなく、ホールそれぞれ固有の空間情報(響きとか)を、排除した上で。YAMAHAのOBの方から伺った話ですが、日本には客席が600以上のコンサートホールは3000以上もあるそうです。

坂本 : ぼくもそういう技術は好きだし、大事だと思う。ひとつだけ付け加えると、音楽の魅力っていうのは、もちろん音質イコール「音楽の魅力」っていうことではなくて、武満 (※69) さんの例でよく言われますけど、武満さんが少年時代に空襲警報(だったか?)が鳴って、防空壕に入って、一緒に入った将校が、たまたまフランスのシャンソン好きで、敵性音楽ですけど。当時の78回転でシャンソンを聴かせて、「その音楽の心地よさ、快感に震えた」という話。悪い音ですよね。S/N (※70) は悪いんですけど、音楽の良さは、すごく伝わるわけですよね。だからS/Nの良さは、イコール音楽の良さでは全くないってことが面白いですね。

オノ : 名曲、名演奏、コンテキストがあってこそのレゾリューションですからね。しゃべり過ぎて対談になってしまい…、今日は本当にありがとうございました。

(※38) 情報の全体もしくはその一部を収集し、そのコレクションを後世の研究者、歴史家、一般大衆のために保存すること

(※39) Pro Tools(プロツールス)とは、アメリカの Avid Technology 社傘下にある digidesign(デジデザイン)社が設計開発及び販売しているソフトウェアの名称。デジタルで音声の録音、編集、ミキシングなど一連の作業を行うことができ、現在の音楽制作の現場で多く使用されている。

(※40) 音楽や動画データを圧縮するとき1秒あたりどのくらいのデータ量にするかといった表現。
一般に、ビットレートを大きくすると画質・音質は向上するがファイルサイズが大きくなり、ビットレートを小さくするとファイルサイズは小さくなるが画質・音質が落ちる。

(※41) 測定、情報転送を含む様々な目的のために、ある種類のエネルギーを別のものに変える装置。変換器ともいう。広義では、トランスデューサーは1つの形態から別のものに信号を変えるあらゆる装置といえる。

(※42) 卓とはミキシング・コンソール (Mixing Console)、いわゆるミキサーを指す言葉。つまりデジタルの卓とは、複数の音声信号をデジタル回路を通して音色加工したり、トラック音声を足して様々な音声トラック形式へ出力するための音響機器のこと。

(※43) EQとはイコライザー(= Equalizer、音色等価回路)の略称。入力された音声信号を音色補正したり積極的に音質変化させるための機能を持つ回路を指す。

(※44) 1960年ヨアヒム・キースラー(現社長)によって設立された、コンサートホールやスタジオ用のパワーアンプ、マイクロフォンアンプなどを開発・製造する企業。後に、復刻不可能とされた様々なオルガンの名器をレプリカとして現代に蘇らせ、「歴史の残る仕事」として賞賛を受けた。MEG社のモニターシステムはその高い技術力から世界中のオペラハウスやコンサートホール、レコーディングスタジオなどで使用されている。

(※45) 複雑な情報や信号をその成分に分解し、成分ごとの大小に従って配列したもののこと。2次元以上で図示されることが多く、その図自体のことをスペクトルと呼ぶこともある。

(※46) サウンドエンジニアや宅録ミュージシャン御用達の機材専門誌『サウンド&レコーディング・マガジン』(リットーミュージック)のこと。

(※47) PAとは、Public Address(パブリック・アドレス)の略。電気的な音響拡声装置の総称であり、しばしば、これらのオペレータを指す言葉としても使われる。

(※48) 1992年ブリューエル・ケア(B&K)という測定用マイクロフォンメーカーから独立した、音楽用マイクロフォ ンの販売・サービスを専門とするDenish Pro Audio社のこと。現在はDPA Microphones社と社名が変更されている。

(※49) 音響測定とは、音場や音響システムの性能を評価するために、音量や音質を測定すること。音圧レベル(音の大きさ)、周波数特性、ノイズなどの音響指標が一般的によく測定・評価される。

(※50) 透明であること。透き通っていることを指す。

(※51) ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908年4月5日 - 1989年7月16日)は、オーストリアの指揮者。1955年よりベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督を務め、一時期それと同時にウィーン国立歌劇場の芸術監督の地位にもあったことなどから、日本では「楽壇の帝王」と称されることもあった。20世紀後半のクラシック界のみならず、広く知られたマエストロ(巨匠)の一人である。

(※52) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は、ドイツ・ベルリンのフィルハーモニーに本拠を置くオーケストラ。かつてカラヤンが主席指揮者を務めるなど、世界有数の実力と人気を誇る。ちなみに現在のコンサートマスターは日本人の樫本大進が内定している。

(※53) 早稲田大学の表現工学科教授。早大プロジェクト研究所空間科学研究所所長、現在コミュニケーション科学研究所所長。音響工学などの研究を行っている。

(※54) 日本の考古学者。 早稲田大学人間科学部教授、国際教養学部教授を経て、サイバー大学学長、早稲田大学客員教授。日本におけるエジプト考古学の第一人者で、衛星写真分析などのハイテクを導入した調査方法で遺跡を発掘する手法が評価されている。

(※55) 1983年日本公開。大島渚監督の映画作品。日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドの合作映画で、テレビ朝日製作の映画第1作でもあった。出演は、ビートたけし、坂本龍一、デヴィッド・ボウイなど。音楽も坂本龍一が担当して話題に。英国アカデミー賞 作曲賞受賞。

(※56) マガジンハウスなどによって東京・銀座で運営されている、レコーディング、ミキシングおよびマスタリングを主たる業務とする会社組織。テレビ番組や広告用の動画編集やポストプロダクション業務も行う。J-Popやジャズのレコーディング・ミキシングで高い評価を得ている。

(※57) 『SURF&SNOW』は、松任谷由実(ユーミン)の10枚目のオリジナルアルバム。1980年12月1日に東芝EMIからリリースされた。いまやウィンター・ソングの定番である「恋人がサンタクロース」や「サーフ天国、スキー天国」を収録している。

(※58) 田中信一氏が率いたレコーディング・エンジニアのオフィスのこと。

(※59) 日本のレコーディング・エンジニア。1969年、クラウン・レコード入社。レコーディング・エンジニアとして、かぐや姫、ムーンライダース、ティンパンアレイなどの録音に携わる。1977年に独立してフリーランスとなって以後、CD制作から舞台公演、各種イベント、音楽スタジオのプロデュースまで活動の幅を拡げる。一方、音響設計についての造詣も深く、これまでに建設を手がけた音楽スタジオも数多い。

(※60) 日本のサキソフォン奏者、作曲家、音楽プロデューサーである。1954年生まれ、静岡県出身。J.S.バッハを独自に解釈した創作活動でその名を知られている。

(※61) 日本のギタリスト。1953年生まれ、東京都出身。1979年には坂本龍一、矢野顕子、村上秀一らと「KYLYN BAND(キリンバンド)」を結成。また同年にはイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のワールドツアーにサポート・ギタリストとして参加した。

(※62) 1948年生まれ、愛媛県今治市出身。日本を代表するフリージャズトランペット奏者。トランペットは極めて特徴的かつ激しい吹奏を行うことで知られている。数々の大物・一流アーティストとセッションを重ね、ノイズ、アンビエント、トランス等のサウンド手法を取り入れたオリジナリティ溢れる演奏は海外でも評価されている。

(※63) アメリカ合衆国イリノイ州出身の音楽プロデューサー、ベーシスト。ジャズ、ファンク、ダブ、テクノ、アンビエント、アヴァンギャルド、ワールドミュージックまで広範に音楽を手がけ、関わったアーティスト、作品は膨大な数に上る。坂本龍一『Neo Geo(1987)』のプロデュースも彼の仕事のひとつ。

(※64) アメリカ合衆国ニューヨーク州出身のサックス奏者。フリー・ジャズ、前衛音楽、グラインド・コアなどの様々な音楽を吸収し、ジャンルレスな活動で知られる。BOREDOMSのEYEらとネイキッド・シティというユニットも組んでいた。

(※65) 1978年に、サックス奏者のジョン・ルーリーやギタリストのアート・リンゼイなどで結成されたアメリカのバンド。モダン・ジャズを意識しながらも、パンク/ニューウェイヴの先鋭的な感覚をプラスした音楽性は「フェイク・ジャズ」と称された。

(※66) 大きな意味では様々な素材、内容を記録媒体(CD、DVDなど)に収録し、量産用プレスをする際のマスター(原盤)を作成する原盤製作作業のこと。ここでは、音楽作品制作において、ミキシングして作られた2トラックのマスター音源をイコライザーとコンプレッサーを用いて加工し、最終的な曲の音量や音質、音圧を調整することを指す。

(※67) YAMAHAの新技術、SCM(スペクトラル・コンポーネント・モデリング)テクノロジーを搭載した電子ピアノ。再現力に優れたサンプリングと表現力に秀でたモデリング技術を高度に融合させたことで、楽器本来の持つ、幅広い音色変化をも再現することができるという。

(※68) 室内では、直接音が聞こえたあと、条件によっては、壁、天井、床などからの数十個の反射を他の音から分離して聞くことができる。これが初期反射である。部屋の形状が直方体であれば、 1 回反射は 6 個だけだが、より複雑な形状・または家具などがある部屋では反射音の数が増え、また壁などで複数回反射した音も聞こえる。初期反射は直接音とまとめて、ひとつの流れの音として認知されるという。

(※69) 現代音楽の分野において世界的にその名を知られ、日本を代表する作曲家。終戦直前に聞いた、リュシエンヌ・ボワイエの歌うシャンソン「聴かせてよ、愛のことばを」に衝撃を受けて音楽家を目指したという。

(※70) S(信号)とN(ノイズ)の比を対数であらわしたもの。Signal to Noise ratioの略でS/N比、SNRとも呼ばれる。映像や音声、通信回線などの品質をあらわす数値で単位にはdB(デシベル)が使われる。